トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法
本書を読んで呼吸に関する正しい知識を身につけ、正しい呼吸法を習得すれば、細胞レベルで酸素を最大限に活用することができるようになります。必要なのは、呼吸と体内の酸素の関係を正しく理解することだけです。特に重要なポイントは、二酸化炭素の働きを知った上で呼吸することです。
目次
ART1 呼吸の秘密
Chapter1 誰もが誤解している酸素のパラドックス
Chapter2 体内酸素レベルを自分で測定する
Chapter3 鼻は呼吸のためにあり、口は食事のためにある
Chapter4 軽い呼吸こそ、身につけるべき正しい呼吸法
Chapter5 人間本来の呼吸のしかたを取り戻す
PART2 フィットネスの秘密
Chapter6 自然で合法的にパフォーマンスを上げる方法
Chapter7 低地にいながら高地トレーニングをする
Chapter8 鼻呼吸で集中力を高め意図的にゾーンに入る
PART3 健康の秘密
Chapter9 呼吸法を変えるだけで簡単にダイエットできる
Chapter10 呼吸量を減らすことで疲れない体をつくる
Chapter11 呼吸量を減らすことで心臓を強化する
Chapter12 呼吸量を減らすことで喘息を治す
Chapter13 鼻呼吸に変えると顔が正常に発達する
実践編 酸素アドバンテージ・プログラム
Epilogue 体を動かすことは命を救う
著者紹介 マキューン, パトリック Patrick McKeown
ダブリンのトリニティカレッジを卒業。2002年、ロシアのモスクワにあるブテイコクリニックでブテイコ呼吸法の臨床トレーニングを学び、自分も実践し20年以上苦しんできた喘息、鼻炎、睡眠障害呼吸を克服する。
ブテイコウ呼吸法
”Buteyko呼吸法”は日本では”ブテイコウ””ビューテイコ”などと言われていて、特に喘息の治療法として知られているようで、ロシアの生理学者コンスタンチン・パヴロヴィチ・ブテイコ(1923-2003)によって考案されたものです。
「様々な疾患の主な原因は慢性過剰換気を引き起こす間違った呼吸法にある」というのがその理論概念で、ブテイコ氏はこの間違った呼吸法を”深呼吸病”と呼んでいたそうです。間違った呼吸によって過剰換気が進んでいくとpHバランスの崩れ、新陳代謝の乱れ、免疫の低下、その他諸々の症状が出てくるのだそうです。
ブテイコの理論
酸素と二酸化炭素を運ぶ血液
全身の細胞一個一個が生命活動に必要なエネルギーをつくるためには酸素が必要である。
また,エネルギーをつくった結果として二酸化炭素が発生する。血液において,酸素の運搬と二酸化炭素の回収に関わっているのが「赤血球」である。
「赤血球」には「ヘモグロビン」というタンパク質が含まれており,その中心にある鉄が酸素と結合する。「ヘモグロビン」は酸素濃度の高い肺では酸素と結合するが,組織などの酸素濃度が低い場所では酸素を離しやすい性質がある。そのため,「赤血球」は体の隅々まで酸素を届けることができる。
一方,細胞・組織から出たほとんどの二酸化炭素は赤血球に入る。「赤血球」中の酵素のはたらきにより,二酸化炭素は水と反応して炭酸になる。次に,炭酸は炭酸水素イオンと水素イオンに分かれ,炭酸水素イオンのほとんどが「血しょう」に溶けた状態で肺に運ばれる。
肺では,前述の反応とは逆の反応が起こり,生体外へ二酸化炭素が排出される。すなわち,血しょう」中において,炭酸水素イオンと水素イオンから炭酸がつくられ,炭酸が二酸化炭素と水に分かれる。そして「肺胞」から二酸化炭素が生体外へと排出されるのである。
「赤血球」による二酸化炭素の回収は血液の pH 調節にも関わっている。二酸化炭素が「赤血球」に取り込まれるほど,血液中の水素イオン濃度は上がり,酸性に寄る。逆に,肺から二酸化炭素が排出されるほど,血液中の水素イオン濃度は下がり,アルカリ性に寄る。生体は「赤血球」の二酸化炭素の取りこみと,「肺胞」による二酸化炭素の排出により,血液の pH を 7.40 の中性に保っている
肺での酸素と二酸化炭素
身体に届けられる酸素は、どれだけ肺に酸素が取り込まれたかではなくて、体内の二酸化炭素の量に関係する。二酸化炭素が少なければいくら酸素を取り込んでも、体内での酸素の受け渡しは行われずに酸素はそのまま素通りしてしまう。組織や細胞に酸素の受け渡しが上手くできなければ酸欠状態は続くので、脳は呼吸を促す。そして呼吸によって更にCO2が排出されてしまうと、身体は気管支痙攣や血管痙攣を起こしてCO2がすっかり奪われてしまわないように抵抗する。
つまりCO2が十分でない状態では酸素をいくら取り込んでも無駄で、しかもCO2不足だけでなく酸素不足にも陥ってしまうのです。酸素不足になると身体は血管を収縮させ、何とか血液を流して細胞を救おうとします。
過剰な二酸化炭素排出によるスキンダイビング中の水中事故(ブラックアウト)として下記のような呼吸法がある。
ハイパーベンチレーション
主に、スキンダイビングで潜水の直前に行う、息を長く堪えるための呼吸法。この方法を行うことによって、より長く、より深い深度に潜水が可能である。
方法は深く早い深呼吸を繰り返す事で血液中の血液ガス(二酸化炭素の濃度が低下し、酸素の濃度が上昇)が変動するため、呼吸を引き延ばすことが可能になる。
有用な技術ではあるが、限度を超えて水中にもぐっているとブラックアウト(意識障害・記憶喪失など)の危険性がある。これは呼吸を必要と感じる血中二酸化炭素濃度に達するより先に、脳に必要な酸素濃度が低下し、酸欠を引き起こすためである。
*人間が息が苦しいと感じるのは血中の二酸化炭素濃度が一定値より高くなると体のセンサーが働らいて苦しくなる為。
関連記事:ハイパーベンチレーション
ブテイコウ呼吸法のやり方
①1日に合計1時間程、「あまり深く呼吸をしない」練習をする。
②歩く時、自転車に乗る時、スポーツをするときも、常に鼻呼吸で
③寝るときに、口にテープを貼り、鼻呼吸で寝る(縦に貼ります。あまりガチガチに貼りすぎると、窒息死してしまうので・・・)
④話し方に気をつける。口で吸わず、鼻呼吸を続けられるように細切れに話す。
⑤アクビした後は、しばし無呼吸。
本のポイント
ノーベル呼吸法および鼻呼吸について科学的な検地で有効性を説明。
ノーベル呼吸法(酸化窒素呼吸法)とは
1998年アメリカUCLAのチームは一酸化窒素の研究でノーベル生理学医学賞を受賞しました。
一酸化窒素には血管を拡張させ血圧の上昇を押さえる働きがあるのです。
ノーベル呼吸は、この一酸化窒素の原理を利用した呼吸法で血管を拡張させて血圧上昇を押さえることで動脈硬化を予防するという呼吸法。
一酸化窒素は血管を広げる作用があります。
血管を広げる働きは、放出される一酸化窒素の量に左右され、一酸化窒素が不足すると血管は硬くなり、逆に十分に出ていると血管をやわらかい状態に保つことができます。
関連記事:ノーベル呼吸(酸化窒素呼吸法)
鼻呼吸法
そもそも口呼吸を使うのは哺乳動物ではヒトだけです。他の哺乳動物は鼻呼吸しか使いません。ヒトも乳児期には基本的に鼻呼吸のみですが、言葉を話すような時期になると口呼吸を使う機会が生まれます。しかし、最近ではアレルギー疾患があって鼻が詰まりやすい、扁桃腺やアデノイドが大きく鼻の通気性が悪くて鼻呼吸がしにくい、そのために口呼吸に頼る習慣がついた子供がそのまま大人になることが少なくないのです。電車の中で口が少し開いている人(=口呼吸)をよく見かけますが、若い人たちが圧倒的に多いようです。
息苦しいと感じる時には楽に肺に酸素を取り込める口呼吸に頼りがちで、必要以上に二酸化炭素を排泄してしまい、血液中の二酸化炭素の濃度が低下してしまいがちです。このことは困った事態を招きます。すなわち、動脈中の二酸化炭素の濃度が低下すると各臓器に酸素を補給する動脈が収縮して細くなり、末梢の循環が悪くなります。さらに酸素を運んでいる赤血球が細胞近くの毛細血管のところで酸素を手放しにくくなってしまうのです。つまり、細胞全部に酸素が十分に届かなくなってしまうのです。深呼吸を続けていると手足がしびれて、筋肉が硬直してしまう過換気症候群はその極端な状態です。口呼吸を盛んにしている人は軽い過換気状態が続いていることになります。
口呼吸は結果的に酸素を体全体に届けにくい状態です。代謝が低下し、疲れやすく、疲れが取れにくい、不安にもなりやすいという状態を招くのです。それ以外にも沢山の健康上の問題が生じやすくなります。例えば、幼少時に口呼吸を続けていると顎の発育が悪くて歯並びが悪くなり、外気を直接吸い込むので喉・気道の炎症を起こしやすく、免疫系が不安定となります。睡眠中の口呼吸は、いびきや睡眠時無呼吸を起こしやすく、睡眠障害の原因の1つになります。
動画 ヨガ講座 片鼻呼吸法
鼻呼吸テープ、口閉じテープ
口に貼るだけで、ヒト本来の呼吸法(鼻呼吸)に整えます。
起床時の口・のどの乾き、いびきの音を軽減し、安眠へ促します。
*鼻呼吸に促すことによって得られる効果(自社試験による)です。効果には個人差があります。
剥がすときに痛くない、肌にやさしいシリコンタイプの粘着剤です。
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