酸素中毒
人体にとって酸素は不可欠な気体だが、活性化した酸素は、量が多すぎると毒性を発揮する。大気中なら人体には活性化された酸素をじゅうぶん処理できる能力が備わっているが、酸素の分圧が上がる可能性のある水中では、酸素による中毒症状が現れることがある。通常、酸素の分圧が1気圧を超える空気を長時間呼吸すると酸素中毒の危険性があると考えられている。空気を使ってダイビングしたとき、酸素の分圧が1気圧を超える水深とは、およそ40m。スポーツダイバーが酸素中毒をさけるためには、水深の限界(39m)を守って潜水することだろう。酸素中毒の徴候としては、筋肉のけいれん、吐き気、幻覚や幻聴、呼吸困難、不安感や錯乱などが現れるが、深度を上げればもとに戻る。しかし、水中でこのような症状が起こり、急激に浮上するとエアエンボリズムや溺れの危険性がある。
脳酸素中毒(ポールベール効果)CNS oχygen toχicity, Paul Bert effect
分圧の高い酸素を呼吸することによって起こる痙撃発作などの中枢神経の障害をいう。
潜水して酸素分圧の高い気体を吸収すると、脳の障害を引き起こし、最も重症化すると意識を消失して全身の痙攣が起こる。痙攣自体は、酸素の吸入を中止することで、後遺障害もなく回復する、しかし、潜水中に生ずると、そのまま溺れる可能性が高く非常に危険である。脳酸素中毒は、酸素分圧が1.3を超えると発症する可能性がある(純酸素を呼吸して水深3mに潜った状態)。
※酸素分圧の限度を1.46にしているテキストもある
肺酸素中毒(慢性型酸素中毒、ローレンスミス効果)oxygen poisoning of lung,Lorain Smith effect
肺酸素中毒は、酸素分圧0.5気圧以上の呼吸ガスで長時間呼吸した時に肺が冒される中毒をいう。
肺の酸素中毒は、潜水のような短期間の酸素暴露では生じない。病態は基本的には間質性肺炎であり、長期的には肺活量が減少する。脳の酸素中毒と異なり、不可逆性の要素が強い。環境圧が1気圧であれぱ、50%を超える濃度から、肺の障害は生じ始めるとされている。
高酸素血症(ハイパーオキシア)hyperoxia
組織が正常値以上の酸素分圧になったことによる生ずる病態の総称をいう。
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