環境圧潜水(軟式潜水)

潜水者が潜水深度に応じた水圧(環境圧)を直接受けて潜水する方法で,通常の潜水の業務はすべて環境圧潜水。

送気式潜水

空気圧縮機などによる圧縮空気を船上からホースを介して潜水者に送気する方法でホース式潜水とも呼ばれる。送気式潜水は,水中での呼吸ガスの確保の心配がなく,長時間の潜水が可能である。

1.定量送気式潜水器
潜水者の呼吸量にかかわらず常に一定の呼吸ガスの送気を必要とする。複雑な機構を要しないが,大量の送気を連続して行う必要がある。

①ヘルメット式潜水器:

金属製のヘルメットとゴム製の潜水服により構成されるもっとも古い潜水器

ヘルメット潜水送気式潜水の一種で、ゴム引き帆布などの防水素材で作られた潜水服と、ガラス窓のついた金属(主に真鍮)製のヘルメットを使用し、水上からホースでヘルメットに空気を供給する潜水方法である。

1950年代にスクーバが普及し始めるまではほぼ唯一の実用的な潜水方法であったため、水中土木作業や軍事用など作業潜水の分野のほか、漁業用としても広く一般に使用されてきた。そのため「潜水服」という単語でヘルメット潜水の装備一式を指し示す場合もある。

しかし、1900年前後に基本的なシステムが確立されて以来全体としてはほとんど改良されていない古いシステムであることから、ダイバーには非常な熟練と体力が要求され、安全性についてもけっして高いとはいえない。また、装備の重量だけでも80 – 90kgに達するうえ空気供給ホースなどで行動が制約されるため、機動性もきわめて低いといえる。そのため、現在では機動性の高いスクーバや近代的な送気式潜水に急速に取って代わられつつある。

画像出典先:ヘルメット潜水器の歴史©小学館ライブラリー

画像出典先:ヘルメット型潜水服©小学館ライブラリー

ヘルメット式の潜水『南部もぐり』のデモ動画

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②軽便マスク式潜水器:

潜水者の顔面に装着されたマスクに常に一定の空気が送られるもので,ヘルメット式の簡易型、手押しポンプで送気が可能。

ヘルメット型はガスの供給量がヘルメットと潜水服のスペースと多く必要とするが軽便マスク式は顔面を覆うマスク内の容量だけなので供給量が少なくてすむ。

下記に実際に使用された軽便マスク式潜水器を紹介。

ジャック・ブラウン軽便潜水器(jack browne mask)

アメリカ人、ジャック・ブラウンが開発、逆三角形のマスクをストラップで顔面に縛り付け面マスク内へ直接ガスを送り込む構造。

DESCO Masks

③浅利式マスク潜水器

1937年 浅利熊記と佐藤賢俊によって独自に開発されたアサリ式マスク潜水器である、これはマスクの両端に空気の貯蔵槽として袋を装着した組み合わせをヘルメットの代わりに用いるもので送気流量が従来の半分で済んだ。

2.応需(デマンド)送気式潜水器
潜水者の呼吸に応じて送気が行われる。息を吸い込むと送気が行われ,息を吐くときは送気は中断する。呼吸ガスの消費量は必要最小限となる。

①マスク式潜水器「大串式潜水器」

大串岩雄氏によって作り出されたマスク式潜水器「大串式潜水器」である。

大串式潜水器の特徴は現在のレギュレーターと同じくタンクに取り付けた圧力調整弁(ファーストステージ)で中圧に落とし、中圧ホースを通りセカンドステージでは吸気レバーを歯で噛むことによって開閉されて空気がマスク内に流れ、ダイバーは鼻から吸って口から外に吐き呼吸をした。大串式潜水器は1917年(大正6年)大串岩雄によって基本モデルが開発された。マスク左側に導かれた空気をマスクの下部に付けられた管を使いマスクの右側よりマスク内に供給する仕組みである。その管の途中、ちょうど口のあたりに送気弁をつけ口で送気レバーを噛むことにより送り込まれる空気の量を調整する仕組みだ。 ダイバーは鼻でマスク内の空気を吸い口から直接海中に吐き出す呼吸法を行っていたらしい。大串式潜水器が開発される前はダイバーは手でバルブの開閉をしていた為片手が使えず苦労していた。大串式の開発によりダイバーは両手が自由に使えるようになり海底での作業は一段と楽になった。

これはクストーとガニアンがアクアラングを開発する23年も前である。

この大串式潜水器は地中海に沈没した八坂丸からの金塊引き上げ作業で使われた、当時としては極めて深い水深80mからの引き上げでもあり、日本人ダイバーの優秀さと大串式潜水器はともに世界的に有名となった。

参考サイト:私の宝物 海底博物館

②フーカー潜水器

フーカー潜水(ふーかーせんすい)は、本来、目・鼻・口を同時に覆う簡単なマスクに水上からホースで空気を供給する送気式潜水の一種を指す。その名称は、かつて阿片などの麻薬を吸うときに使用されていた器具の名前(hookah)に由来する。ヘルメット潜水との対比から、マスク潜水と呼ばれる場合もある。

スクーバの普及に伴い、フーカー潜水の発展形として、スクーバダイビングで使用するマスクとレギュレーター(2ndステージ)を使用し、ダイバーが背負うタンクに替えて水上から空気を供給する潜水装置が広く使用されている。現在では、フーカー潜水といえばこちらの方式を指すことが多い。空気供給装置の能力にもよるが、水深20~30m程度まで潜水可能なものもある。

画像出典先:日本潜水器(株)

フーカー潜水は長時間の潜水が可能であるが、重厚な装備のため機動的な行動に向かないヘルメット潜水と、行動が自由で高い機動性を持つが、携行空気量から潜水時間に制限を受けるスクーバ潜水の短所を排除し、長所を組み合わせたものです。スクーバ潜水のボンベの代わりに、コンプレッサーに連結されたホースの末端に取り付けた圧力調整器(セカンドステージ)から呼吸用空気の供給を受けます。フーカー潜水器具は圧力調整器、マスク、潜水服、足ひれ、ウエイト、水中ナイフ等により構成されます。

長所は、スクーバ潜水に準じた運動機能と、ヘルメット潜水と同じく制約を受けない潜水時間にあり、従って、作業潜水の総ての分野に採用できることです。また、消費する空気量がヘルメット潜水の1/2~1/3に過ぎないので小型軽量の可搬式コンプレッサーの使用が可能となり、これがフーカー潜水の機動性を更に高めています。短所は、頭部と足部の衝撃に対する防御が貧弱なため、重量物を取扱う捨石均しなどの作業には不安があることです。

フーカー潜水に類似した潜水方法として、フリーフローヘルメット(free-flow helmet)と呼ばれるものがある。これは、簡単にいえば、水中で逆さまにしたバケツには水が入らないことを応用したもので、首下あたりまでを覆う単純なヘルメットに、水上からホースで空気を供給する潜水方法である。ヘルメットには空気の供給を調整する機構はとくになく、余剰の空気はヘルメットの下部から水中に放出される。これがフリーフロー(free-flow)と呼ばれる所以で、フーカー潜水のマスクも同様にフリーフローマスク(free-flow mask)と呼ばれることもある。フリーフローヘルメットは、スクーバが広く普及してからはほとんど使用されなくなっていたが、近年、このシステムをレクリエーション用に改良したものが『シーウォーカー』などと称して再登場し、日本でも沖縄のビーチリゾートなどで使用されている。

画像出典先:SeaWalker

参考文献:潜水の歴史 著作者:真野喜洋等

     潜水の世界 著作者:池田知純

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